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【限定記事】ChatGPTプロンプト例(ウェブサイト構築編)

2023年9月15日の識学様との共催セミナー「生成AI時代における業務効率化の手法(ChatGPT活用の具体策)」に参加いただいた皆さまへの限定コンテンツとして、当日にご紹介していたChatGPTのプロンプト例を改めてご紹介します。(この記事はURLを知っていれば、誰でも参照可能ですが、セミナー参加者及び登録者の方に限ってご案内しております)

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ウェブサイト構築で用いるプロンプトの流れ

セミナーでもお伝えしていましたが、ウェブサイト構築にChatGPTを活用する上では、そのウェブサイトを取り巻く背景を具体的に入力しておく必要があります。以下がセミナーで投影していたウェブサイト構築におけるChatGPT活用のステップとなります。

1. 背景情報の入力
 その企業の「背景」情報をインプットする。
 企業のミッション、ビジョン、ターゲット市場、競合他社情報などを把握させる。
  
2. ウェブサイト構成案
   ウェブサイトの構成案を提案させて、フィードバックを与える。
   ホームページ、製品ページ、コンタクトページなど、必要なページとその流れを設計する。

3. 各ページの構成要素案
   更に各ページの構成要素を提案させて、フィードバックを与える。
   各ページに必要なテキスト、画像、CTA(コール・トゥ・アクション)ボタンなどの構成要素を決定する。

4. コンテンツ案
   各ページを構成するコンテンツを提案させて、フィードバックを与える。
   具体的なテキスト内容、画像選定、ビデオなどのメディア要素を決定する。

5. メタディスクリプション
   ページ毎にコンテンツが揃ったら、メタディスクリプションを提案させる。
   SEO(検索エンジン最適化)対策として、各ページに適したメタディスクリプションを設定する。

個人的に付き合いのあるウェブデザイナーにこの件を話した際には、3や4のところについては、やや懐疑的な反応が返ってきたものの、5のメタディスクリプションについては、そのアウトプットの確からしさを含め、衝撃を受けていました。コンテンツの内容を的確に要約する能力は、ChatGPTなどのLLM(大規模言語モデル)の得意とするところです。

 

ウェブサイトの背景情報を伝えるプロンプト例

上記の流れのうち、セミナーの中でご紹介したのは「1.背景情報の入力」と「2.ウェブサイト構成案」のところでした。改めて、この場でもご紹介していきましょう。


貴方はコンサルティング企業の広報担当です。これからコーポレート作成に向けて、ウェブサイトの構成や各コンテンツに関する検討を支援してもらいます。

いくつか我々の企業理念に関する情報を伝えますので、理解したらYesとだけ返答してください。 

まずは、企業理念に関する情報を伝えます。 

""" 
## 経営理念
 - ビジネスとテクノロジーに関する知識を活用することで、顧客の成功に貢献する。 

## 基本方針
 - 顧客の期待に応え、顧客の成功に貢献する。
 - より高い価値を提供するために、現状に満足することなく改善を続ける。
 - ビジネスパートナーと共生し、より大きな価値を生み出す。 

## 行動理念
 - 自身の専門領域を軸足に、ビジネスニーズと状況に応じて柔軟な対応を行う。
 - 顧客やビジネスパートナーの想いを汲み取る洞察力、思考力、コミュニケーション能力を持つ。
 - ビジネスやテクノロジーに関する専門領域で価値を提供する。 


このプロンプトは、これから構築するウェブサイトの背景情報を伝える目的であり、具体的なアウトプットは求めていません。

「コンサルティング企業の広報担当」という役割を与えた上で、「事前情報を伝えるので、Yesとだけ返答する」ように指示しているのが重要なポイントとなります。

ChatGPTは、回答を生成する上での自身の役割を明確に定義されているとアウトプットの精度が増す傾向があります。更には、背景情報を伝えておくことで、これ以降でのプロンプトでの回答もそれを踏まえたものになります。

セミナーではお伝えし切れませんでしたが、「Yes」とだけ返答させるのは、明確な理由があります。ChatGPTは直前や少し前のやり取りは覚えておくことができるのですが、やり取りが長くなってしまうと過去の記憶が失われてしまう場合があります。(技術的な話に踏み込むと、トークン形状の方式の都合上、英語よりも日本語の方がその傾向は強いようです)

よって、ChatGPTが「弊社の経営理念は○○で、基本方針としては○○を採用しています。そして、行動理念は~~」等と答えさせるのではなく、「Yes」とだけ回答させれば3文字で済みますので、それだけChatGPTの記憶を長持ちさせることができるわけです。この辺りの問題は、ChatGPTの今後のバージョンアップで解決する可能性もあります。(なお、現バージョンでも、ChatGPTの機能「カスタム指示(Custom Instructions)」を活用する手法もありそうですが、これは弊社でも未検証です)

このようなプロンプトを数回繰り返し、必要な情報をChatGPTに伝えることができたら、このステップは完了です。

 

ちなみに、「"""(ダブルコーテーション3つ)」の区切り文字については、ChatGPTに情報部分を理解しやすくするために利用しています。このような区切り文字を用いることも、ChatGPTのアウトプットの質を高めることに役立ちます。

ちょっとした文章を添削して欲しい時には、以下のようなプロンプトも有効です。区切り文字があった方がどの部分が添削して欲しい対象の文章なのかが分かりやすくなるのです。


以下の文章を添削してください。
文法上のミスがあれば修正した上で、読み手にとって、分かりやすい語順で文章が構成されている必要があります。


"""
(具体的な文章を記載)


 

ウェブサイトの構成を提案させるプロンプト例

次に、これらの背景情報を踏まえて、ウェブサイトの構成を提案させるプロンプトを見ていきましょう。


先ず、最初に、コーポレートサイトの構成案を作っていただけますか?

サービスメニューや人事理念を伝えるページ、インサイトを公開し信頼性を高める為のページは必要だと思っています。
また、問い合わせページについては、採用応募者向け、顧客候補向け、協力会社候補向けと入り口を分けたいと考えます。 

このタスクを進めるにあたり、不足している情報があれば、質問してください。


このプロンプトのポイントは、できるだけ具体的な指示を与えようと試みている点です。例えば「ウェブサイトの構成案を提案してください」とだけ指示すると、そこには「インサイト公開ページ」などは含まれない可能性があります。(企業のウェブサイトであることは明確であるため、「サービスメニュー」は含まれたのではないか?事前情報で「理念」をインプットしているため、「理念を紹介するページ」は含まれたのではないか?とは思います)

また、これはキラーフレーズなので、是非とも活用していただきたいのですが、「このタスクを進めるにあたり、不足している情報があれば、質問してください。」と書いておくと、構成案を提案するにあたっての情報が不足していた場合には、ChatGPTの方から質問を投げかけてくれます。※この質問に回答することで、アウトプットの精度は一段と高まります。

 

このプロンプトを投げかけてみた際のアウトプットも以下に載せておきます。なかなかの回答だと思いませんか?


了解しました。以下にコーポレートサイトの構成案を提案いたします。

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### コーポレートサイト構成案

1. **ホーム**
   - 企業のキャッチフレーズやビジョンを簡潔に紹介。
   - 新しいインサイトやニュースのフィード。
   - キーサービスや特長を短くハイライト表示。

2. **経営理念・方針**
   - 経営理念
   - 基本方針
   - 行動理念

3. **サービスメニュー**
   - ITコンサルティングサービス紹介
   - SMB企業向け経営コンサルティングサービス紹介

4. **人事・採用情報**
   - 人事理念の紹介
   - 採用情報・募集職種
   - 採用の流れや詳細

5. **インサイト・ニュース**
   - 業界や技術に関する深い洞察記事の公開
   - 会社のアップデートやニュースリリース

6. **問い合わせ**
   - 採用応募者向け問い合わせフォーム
   - 顧客候補向け問い合わせフォーム
   - 協力会社候補向け問い合わせフォーム

7. **会社概要**
   - 会社の基本情報(所在地、設立年月日、代表者など)

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不足情報として、以下の点を確認させてください。

1. ホームページに表示したいキャッチフレーズやビジョンはありますか?
2. サービスメニューの中で、特に強調したいサービスや特色は何か?
3. 採用情報の詳細や募集職種、募集要項はすでに確定していますか?
4. インサイト・ニュースページでは、どの程度の頻度でコンテンツを更新予定ですか?
5. 会社概要に掲載する他の情報(たとえば、取引先や実績、主要メンバー紹介など)はありますか?

これらの情報をもとに、より具体的なサイト構成を検討して参ります。


 

次回予告

ChatGPTのプロンプト例のご紹介記事(ウェブサイト構築編)としては、ここで締めたいと思います。

次回は、マーケティング活用編と題して、セミナーでもご紹介した「ペルソナ定義」や「ペルソナの問題・欲求の掘下げ」のプロンプトを解説したいと思います。